令和五年二月二十三日(木)
 2023/02/23(木)    
 椎名匠店の工房にて
 
 
 
  屋根のクリーニングもされて垂木(たるき)の一本一本まできれいになっています。
 


  上長押(かみなげし)に花菱形の地紋が刻まれています。優美で格式のある「花菱」文様は婚礼などのお祝いの場にふさわしく、また生命力の強い菱形であることから「長寿」や「子孫繁栄」の意味を表し、下長押(しもなげし)にも同様に刻まれています。また画像右下に見える本柱(ほんばしら)には毘沙門亀甲(びしゃもんきっこう)形が刻まれ、武運と福徳をもたらす神の模様とされています。

  箱台(台輪)には沙綾形(さやがた)の地紋が刻まれています。沙綾形は卍(まんじ)つなぎの一種で不断長久(ふだんちょうきゅう)の不断:絶えず、長久:長く続くことを表し、家の繁栄や長寿などの意味を持つとされています。日本テレビの長寿番組「笑点」の背景でもおなじみの文様です。

  唐戸(からど)花の間には牡丹の彫刻と唐戸小間には菱形が細かく刻まれています。この画像は神輿の正面からみて左唐戸になり、唐戸は全部で四面あり、正面には天狗、右唐戸は火龍、後唐戸には菊が彫刻されています。

  枡組(ますぐみ)の尾垂木(おたるぎ)の上から順に、渦雲、龍、象の彫刻もクリーニングできれいになっています。

  山形で階段のように見えるのは木段橋(きだはし)と呼ばれるもので、分解されて始めて一枚板から削られて作られていることがわかりました。

  前回撮った画像ですが、棹穴(さおあな)から抜いた棹(棒)です。かなり良質な材質らしいですが痛んでいるために新しいものと取り替えることになりました。

  古い棹(棒)の上に新しい棹となるヒノキ材が置かれていますが、下にある古い棹と同じ太さに削られて新しい棹として組み込まれます。

  神輿底面には神輿製作者である「宮師 山ア 佐藤則 作」と自筆で墨書きされています。「山ア」とは佐藤則の生家があった、現在の「野田市山崎貝塚町」あたりのことです。